第6章

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     「がっかりする人なんていないよ」と砂川さんは言うけれど。 そんな筈はない。 だって、本当に砂川さんは優しくて素敵な人だと思うから。 きっと、会社で一緒に働いていたら、いろいろ心配になってしまうだろうな。 そんなことを考えて、勝手に切なくなってしまった。 「優奈ちゃん?」 「え?」 ふと顔を上げる。 「どうしたの?元気ないけど……」 「そんなこと無いですよ? ただ、ちょっとお腹一杯になってきました」 「じゃ、そろそろ出ようか?」 「はい」 お店を出ると、さり気なく繋がれた手にドキドキが止まらなくなってしまった。 一緒に帰る砂川さんの部屋。 今夜、わたしは砂川さんの部屋に泊まるんだ。
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