第6章

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    地下鉄を降りると、また手を繋いだ。 「あ、そこのコンビニに寄ってもいい?」 「はい。何を買うんですか?」 「お茶と明日の朝ごはん」 ……朝ごはん。 一緒に朝ご飯、食べるんだ。 そうだよね。別に特別なことじゃない。 …………。 お酒を飲んでふわふわした気分が、その砂川さんの言葉で一気に冷めてしまった。 「急に黙って、どうしたの?」 「えっ?あ、あのプリンも買っていいですか?」 「いいよ。好きなだけ買ってあげる」 砂川さんは、楽しそうにクスクスと笑って、コンビニに入っていった。 さすがに、その手前で繋いでいた手は離されたけど。 わたしは、刻一刻と迫っているそのときに、緊張で胸が張り裂けそうになっていた。
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