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あたふたしながら、出来たばかりの資料をプリントアウトして、ファイルに挟みコウくんに手渡した。
「サンキュ」
いつの間にか電話を終えていたコウくんは、その資料をパラパラ捲って確認すると、「よし」と呟いてビジネスバッグに放り込んだ。
間に合ってよかった。
ホッとしながら、コウくんの後ろ姿を目で追った。
コウくんがホワイトボードに予定を書き込む度に、キュッキュッとマジックを滑らせる小気味よい音がする。
何時に戻ってくるんだろう。
一緒に帰れたらいいな。
最近、コウくんの仕事が忙しくて、まともに会話もしていないのだ。
だけど
そんなわたしの淡い期待は、一瞬で打ち砕かれる。
ホワイトボードに書かれた文字は『直帰』
……今日もコウくんとは話せない。
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