第1章

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   しばらくは落ち込むだろうけど、少し元気になったら合コンでもして彼氏を見つけるの。 この春から大学生になるんだし、出会いはきっとある。 だから……。 「小泉さん、二番に課長から電話です」 「あ、はい」 同僚の声に、現実に引き戻された。 「お、お疲れ様です」 声が上擦ってしまうのは、無理も無い。 電話の相手の課長とは、コウくんのことなのだ。 『悪い、携帯の充電器、下まで持ってきて』 電話を通すと、少しだけ低くなるコウくんの声にドキドキする。 「わかりました」 それを覚られないように短く答えて電話を切ると コウくんのデスクに行き、引き出しをゴソゴソと漁った。
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