第1章

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   「あった」 お目当ての充電器を手に、急いでエレベーターで一階に向かう。 少し話せたらいいな。 なんて考えているあたり重症なんだと思う。 一階に着くと、コウくんは自販機に背を向けて立っていた。 長身で清潔感溢れる佇まいのコウくん。 なんでもないその立ち姿でさえ、カッコイイと思ってしまう自分に呆れてしまう。 「課長、これ」 「悪いな」 近寄って充電器を差し出すと、指先がコウくんの手に僅かに触れた。 ドキッ。 高鳴る鼓動に動揺して、カッと頬が赤くなる。 お、落ち着け、わたし。 指先が触れただけじゃない。 誤魔化すようにフーッと小さく息を吐くと、コウくんがわたしの頭上で笑ったような気がした。
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