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警備室のドアを乱暴に開けて中に入ると、録画されている防犯カメラの映像を巻き戻した。
椅子に座ってうたた寝をしていた成瀬さんが、驚いたように飛び起きた。
「どうしたんだい!?」
その声に答えもせず、僕は映像の映る画面をじっと見つめた。
フロアの廊下の天井付近に取り付けられた防犯カメラの映像が、小さな画面に映しだされた。
エレベーターの扉が開いて、仮眠に向かう僕の姿が映った。3時間前の映像だ。
そして次の瞬間、映像を見ていた僕の背筋が凍りついた。
エレベーターを降りた僕の背後に、あの赤いワンピースの女が映っていた。
廊下を歩く僕の後ろを、女は歩いている。
そして、僕がドアを開けて入ったその部屋に、女も入っていったんだ。
ガタガタと震えながら、僕は画面に映るその光景に見入っていた。
そのとき、急に成瀬さんの声がした。
「あの赤いワンピースの女性は、きみの彼女なんだろ?」
ハッとして、僕は成瀬さんのほうを見た。
たぶん、とても青ざめた顔をして……
でも成瀬さんはそんなことは気にも留めず、ニヤニヤしながら画面を指さして言ったんだ。
「だって、仮眠のたびに二人で部屋に入っていくじゃないか」
了
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