「わかっていなかった」

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 どうせ単なる噂だろうと親友のユカと試してみたら、わたしだけ鏡に吸い込まれた。  今いるここは、階段の手すりが右ではなく左にある。壁のポスターの文字もひどく読みにくくなっている。  鏡の向こうにある反転された世界に、わたしは連れて行かれたのだ。  右も左も文字も逆さまの異世界に。  けれどわたし、わかっていなかった。  “チキチキチキ……”
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