「わかっていなかった」

4/6
前へ
/6ページ
次へ
 すべてが鏡映しなら、わたし自身も例外ではないということを。  わたしはとてもおとなしい性格だ。人とケンカしたり、暴力を振るったりしたことなんか一度も無い。  わたしと入れ違いになった鏡の世界の『わたし』は、正反対だった。  さっき、ユカが『わたし』に殴られた。壁に叩きつけられ額を割って血を流し、虚ろな目で鏡越しにこっちを見ている。  だけどわたし、本当にわかっていなかった。  “チキチキチキ……”
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加