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「ルイ、お前のせいじゃねぇよ……」
「ちがうっ!あたしのせいだ!あたしが麗依を殺したんだ!」
「違ぇよ。お前の、せいじゃ、ねぇよ」
けれど、それと同じくらいに、瑠依が不憫でならなかった。昨夜、母親に、どうして麗依の外泊を許したのかって、責められたばかりだ。
加えて死ぬ前に電話をしたのが自分となれば、責任感の強い瑠依は、自分のせいだと悔やみ続けるのだろう。
「とにかく、母さんが起きたら、病院に行って来る。お前は家で待ってろ」
俯きながら言うと、鼻にかかった声で、瑠依は「うん」と返事をした。
何か温かいものでも入れてやろうと、竜二はソファーから腰を上げる。
また膝に顔を埋めた瑠依の側を通って、広いダイニングキッチンへと脚を踏み入れた。
「……ルイ」
戸棚を開けて、瑠依の好きな紅茶の茶葉を選びながら、声をかける。
「あの刑事が言ってた、動物病院の先生って、なんなんだろうな」
瑠依は答えなかった。答えが欲しいわけではなかったから、竜二はそのまま続けた。
「東田動物病院の先生のことかな。でも、最近じゃ定期検診くらいしか行かねぇのに、あの先生とレイに何の関係があんだろ。お前も聞いてないなら、別に親しいわけじゃねぇんだろうけどさ」
竜二に尋ねたように、松ヶ崎は瑠依にも尋ねた。麗依の口から、 動物病院の先生の話を聞いたことがあるか、と。
「なんなんだろうな」
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