第一章

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「ルイ、お前のせいじゃねぇよ……」 「ちがうっ!あたしのせいだ!あたしが麗依を殺したんだ!」 「違ぇよ。お前の、せいじゃ、ねぇよ」  けれど、それと同じくらいに、瑠依が不憫でならなかった。昨夜、母親に、どうして麗依の外泊を許したのかって、責められたばかりだ。  加えて死ぬ前に電話をしたのが自分となれば、責任感の強い瑠依は、自分のせいだと悔やみ続けるのだろう。 「とにかく、母さんが起きたら、病院に行って来る。お前は家で待ってろ」  俯きながら言うと、鼻にかかった声で、瑠依は「うん」と返事をした。  何か温かいものでも入れてやろうと、竜二はソファーから腰を上げる。  また膝に顔を埋めた瑠依の側を通って、広いダイニングキッチンへと脚を踏み入れた。 「……ルイ」  戸棚を開けて、瑠依の好きな紅茶の茶葉を選びながら、声をかける。 「あの刑事が言ってた、動物病院の先生って、なんなんだろうな」  瑠依は答えなかった。答えが欲しいわけではなかったから、竜二はそのまま続けた。 「東田動物病院の先生のことかな。でも、最近じゃ定期検診くらいしか行かねぇのに、あの先生とレイに何の関係があんだろ。お前も聞いてないなら、別に親しいわけじゃねぇんだろうけどさ」  竜二に尋ねたように、松ヶ崎は瑠依にも尋ねた。麗依の口から、 動物病院の先生の話を聞いたことがあるか、と。 「なんなんだろうな」 *
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