第一章

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「……いえ、違います。ルイから聞いた話では、日曜日の夕方には帰るって言ってたみたいです。母の帰りが、日曜日の夜だったので。  うちの母、すげぇ厳しくて、夜遊びとか煩いんですよ。だからレイは、母が出張とかでいないときを見計らって遊びに出てたんです」 「じゃあ、お母さんが帰られてから、麗依さんがいないことがバレたってことかな」 「そうです。友達と図書館に勉強に行ったって、ルイが誤魔化したんですけど、9時くらいになって、母が怒りだして。  ルイに、すげぇ怒りだして。ルイも隠し通せずに、金曜日から何処かに泊まりに行ったって言っちゃいました」  眉を釣り上げ、細い瞳を三角にして、もの凄い勢いで瑠依に怒鳴り散らした母親を思い出し、唇を結ぶ。  瑠依が悪いわけじゃない。  瑠依はただ、遊びに行きたい年頃の麗依に、息抜きをさせてやっていただけだ。  普段からあれほど門限が厳しければ、麗依のようなタイプは煮詰まる。  なのに、「お姉ちゃんなんだから」とか、「家のことは貴女に任せてる」とか、「管理が行き届いてない」とか、勝手なことばかり言いやがって。  どうしてまだ高校生のルイが、家のことやレイの遊び癖まで管理しなきゃならないんだ。  管理が行き届いてないのは、お前だろう。  お前が、俺たちの、レイの、母親だろう。
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