細い線

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細い線

部屋の中には私一人だ。 でも確かにカインの声がした。 「カイン…カインどこ?」 部屋の中でカインの名前を呟く。 すると私の足元に丸いビー玉程の大きさの銀色の玉が転がって来た。 驚いてその玉を拾う。 「キョウカ…傷つけてすまない。」 「カイン!カインなの?話せるの?」 その玉をギュッと握る。 「きっと傷ついたキョウカがここに来ると思ったから、思念を残しておく。」 「思念…ってなに?」 「きっと俺が仕組んだ通り、あの人間との間に…。はぁ、想像するだけで寿命が縮むぜ。自分で仕組んだんだが…」 カインの思念が一人で話を続ける。 「お前の指輪には俺が溜め込んだエネルギーが注入されているが、俺が死ぬとその量は激減するだろう。そして、新たにエネルギーを溜めるには…性行為だ。」 カインの声を聞きながら目を閉じた。 「あの人間と…そうなったのなら、わかるな?」 きゅっと唇を噛みしめる…。 「もう二度とあの人間の生気を奪いたくないなら、他の男から生気を奪いエネルギーを溜めろ。」 そんなバカな事言って…。 私がそんな事、わかっててすると思うの? 「俺達の息子からも逃げなければいけない…こんな試練を与えた事も悪いと思ってる。」 深いため息をついた。 「俺はお前を傷つけてばかりだな…だが、お前を本当に愛している。」 …カイン…。 「だから、最後にお前に幸せを与えたい。あの人間の生気を奪わずそばにいたいのなら、指輪を外せ。指輪をしたままだと指輪がエネルギーを求め、お前を支配し、あの人間を魅了し生気を吸い尽くすだろう。」 指輪を睨む。 でも、外そうにも指輪は私の指に喰い込み抜けない…。 「お前には…お前の魂を戻してある。その魂でどれだけ保つかわからんが、俺が死んだ後なら指輪にそれほどエネルギーは残ってないだろう…。指輪がお前を暴走させるかもしれない。」
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