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大丈夫……大丈夫。
何度も心の中で呪文のように唱えた。
大きく息を吐き、彼の家の2階を見上げる。
……樹(いつき)、受け取ってくれるかな?喜んでくれるかな?
思い浮かべたのは、物心ついたときから、ずっと傍にいて遊んでいたお笹馴染の見城樹(けんじょう・いつき)
母親同士が高校の同級生らしく、そのままずっと仲が良くて、私達も常に一緒だった。
――だから、樹のことを好きになるのに時間がかからなかった。
だから決めたんだ。
今年のバレンタインにチョコをあげて告白するって。
「あら夏葉ちゃんいらっしゃい。樹ね?――」
樹が出て来た時のシュミレーションをしていたら、煉瓦造りの洋館のドアが開き一人の女性が現れた。
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