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「何もしねぇよ、安心しな。だから逃げようとするんじゃーねぇ。抵抗する振りだけしてろ」
――何もしない……?
アサ子は戸惑った。
何をしないというのか。首筋に顔を埋めてくる黒川は、そこに舌を這わせている。
どういう事なのかと思っていると、その舌が耳に辿り着いた瞬間、また黒川が囁いた。
「2時の方角、5m先の木の枝にカメラがある。で、10時の方角3mの草むらの中に集音マイクだ。いいか、ちょいとマイクから離れるぜ。このまま後ろに退がる。お嬢さんは暴れてくれるかい」
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