第4話

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「ねぇ! 大丈夫なの!?」 アサ子の立ち位置から斜面を少し降った辺りに、倒れている川渕 敦の姿を見つけた。 アサ子は足を滑らさないように慎重に斜面を降り、彼に駆け寄った。 「ねぇ、ちょっと!!」 俯せに倒れた川渕 敦の肩を揺らした。 ゆさゆさと体が揺れるが、返事はない。体を転がして仰向けにさせると、ゴロンと人形のように転がった。 「ねぇ……」 川渕 敦の顔を覗き込んだ。 うっすら半開きの目は焦点が定まっておらず、土が付着して汚れた顔は血色を失っており蒼白い。
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