第4話

8/35
前へ
/35ページ
次へ
「あー? 何だぁ、アイツは?」 黒川が、川渕 敦の姿に気付いた。 「し、死んでる……」 アサ子はようやく声を振り絞った。   黒川はかすかに鼻で笑った。 「気の毒なこった。病院にでも行けりゃー、助かったかもしれねぇのになぁ」 そのとおりだ。 本当に死んでしまうとは、思っていなかった。 「お手をどうぞー、お嬢さん」 黒川は腰が抜けたアサ子に手を差し伸べた。 アサ子はその手を取った。 それを払いのけると、後々面倒になる気がしたからだ。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

218人が本棚に入れています
本棚に追加