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「飲み水くらいは出来たのかい」
背中で黒川の声がした。
「……いいえ」
アサ子は無力に答えた。
「仕事だ、お嬢さん。ついてきな」
「仕事?」
洞窟に戻ると、黒川は着替えのズボンを出せと言った。森から取ってきたのであろう蔓のヒモでズボンの裾を縛っている。
「何をするの?」
「あー、これか? こうやって蔓を通しゃあ、リュックのカンセーイってな」
黒川はベルトよりも少し長いめのヒモでズボンの両足の裾をきつく縛り、ズボンを膝で折って、裾を縛ったヒモをそのままベルト通しに通して縛った。
足部分を肩にかけ、ウエスト部分から荷物を入れるとリュックの代わりになるらしい。
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