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「本当にやめて。私、それだけは本当に駄目なの!! お願いだから、それをどっかにやって!!」
「何を言ってんだ。貴重な食料だぜー?」
黒川は自分の右手を見下ろした。
そこには、全身を角質の表皮で包んだ細長い生き物が、くねくねと身を捩らせている。
蛇だ。
黒川が森で捕まえてきたのである。
そしてアサ子がここまで大騒ぎしている理由は、森から帰ってきた黒川が眠っているアサ子の横を通りかかった瞬間、アサ子がその足音で起きてしまい、目の前にあった蛇に驚いた、というだけのつまらない物である。
「食料だって事は分かってるわよ。だけど、ソレを近付けないで。気持ち悪いのよ……!!」
「大袈裟なこった」
「な、何よ!」
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