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篠山はそんな二人の様子を見て、ほっと安堵のため息を吐いた。
「はぁ……、よ、良かった。何も無くて……」
そう呟いた瞬間「良くないわよ!」とアサ子に怒られた。
黒川が蛇の調理を始めると、篠山は興味深そうにそれを覗いた。
アサ子も遠目にその様子を窺った。
「硬ぇな……」
黒川はまな板代わりの丸石の上へ蛇の頭を押し付け、缶詰めの蓋をギコギコ引いた。
包丁やナイフでもあれば、頭を胴から切り離す事くらいは容易な筈だが、黒川が手にしている道具は所詮、缶詰めの蓋だ。ノコギリのように扱っていても、ノコギリではない。骨を切断すると言うよりも、力任せに押し潰す感じである。
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