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天地拘置所の会議室に、せわしい音が鳴り響いていた。机に人差し指を打ち付ける音である。
音の発信源は、吉田 権蔵。59歳。
吉田 瞳の夫だった。
彼は、体型に合っていない縦縞のスーツを、窮屈そうに着ている。
脂ののった肉付きのよい頬には金縁の眼鏡が食い込んでおり、鼻は横に大きく開いただんご鼻。それに、分厚い唇から覗く歯は、極端に歯並びが悪い上に所々歯が抜けている。
スクリーンの脇でパソコンを操作していた宮本は、まずいな、と思った。
アサ子と吉田 瞳が映っているモニターをスクリーンに表示させたとき、辺りには風がなく集音マイクが拾った二人の会話ははっきりと聞こえた。
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