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「ああ、そうだ。明日のイベントはプレーヤーに選挙をやらせてみろって上から達しがあったんだ」
「プレーヤーに……?」
「脱落者をプレーヤー達で選ぶってことだ。こんなことは今まで無かったからな……」
そう呟いた佐々木の頭の中を呼んだかのように、神崎が口を開いた。
「さすがの黒川も焦るだろうな」
佐々木が頷いている。
宮本には、何が大変なのか解らなかった。
誰が脱落しようと、宮本には関係ないからだ。
しかし、佐々木と神崎は違った。
明らかに、黒川の脱落を案じていた。
翌日、モニター室には佐々木、宮本、神崎が居た。
今日の監視は神崎の担当だったが、佐々木も宮本も選挙に興味があった。その為、10時になる前からモニター室で待機していたのだ。
「先輩。もうすぐですね」
宮本は佐々木の横に座り、佐々木にボソッと耳打ちした。
「あぁ……」
佐々木はモニターを見上げた。
――選挙か……。
死刑囚が、自分達の中から脱落者を選ぶ。
それは先が読めない事だ。誰が誰を選ぶかなんて分かる筈もない。
「あ、先輩! 始まりますよ!」
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