第7話

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*** 「今から記入用紙を渡す。番号順に取りに来て、記入を終えたらこの箱へ入れるように」 ヘリコプターの横で、山田が言った。 今日も空は晴れている。 「……何だそりゃあ。無かっただろ、そんなのは」 黒川は聞こえるか聞こえないかくらいの声で小さく呟いた。 「何が?」 アサ子は黒川を見上げた。 「いや、何でもねぇ……」 黒川はそう言ったが、何でもないという顔はしていなかった。 ――無かったって言ったような気がするけど……。 アサ子は首を傾げた。 記入用紙というのは、キャッシュカード程度の小さな紙だった。
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