第7話

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「おんやぁ?」 黒川は目を細めてゴミが打ち上げられた砂浜を見つめた。 アサ子も同じ景色を見ていた。 寝そべった篠山の隣に誰かが座っている。 パーマがとれかけた長い髪の女性だ。 7番。吉田 瞳。33歳。 救急箱を持っている女性である。 「何してるの!?」 アサ子は篠山の元へ走り寄った。 「手当てよ……」 彼女は愛想なく答えた。 傍らには救急箱が置かれている。 篠山の両瞼には、微かに赤く滲んだガーゼが絆創膏で固定されていた。
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