159人が本棚に入れています
本棚に追加
「……まだですか?」
山田にそう言われて、篠山は「え」と顔を上げた。
皆は既に開票待ちの為、一ヶ所に集まっている。
「すす、すみません」
――えぇい、もうこっちでいいや。
篠山は慌てて記入を済ませた。
「それでは開票する」
山田は箱を軽く振ると、最初の1枚を取り出し、半分に折り畳まれていたそれをペラリと捲った。
――呼ばれませんように。
アサ子は神に祈るかのように手を組むと、それを唇に押しつけた。
しかし、山田が一番最初に口にしたのは、アサ子の番号だった。
「10番」
最初のコメントを投稿しよう!