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「え……」
アサ子は衝撃を受けた。
山田の横にいた迷彩服の男が、ホワイトボードにペンを走らせている。キュキュッと高い音を鳴らして、10の数字の下に『正』の一画目を記した。
――たかが一票。落ち着け……。
アサ子は、そう自分に言い聞かせたが、早鐘を打ちはじめた鼓動が落ち着くことはなかった。
山田は続けて読み上げていった。
「9」
「1」
「3」
9番が出たな、とアサ子は思った。
自分が書いたものなのか、はたまた他の誰かが書いたものなのか、それは判らない。
――今のところはまだ1票ずつか……。
アサ子がそう思った次の瞬間、山田がアサ子を一瞥した。
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