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「おい、デカイの。ちょっとくれぇは歩けるよな? 洞窟まで行くぞ」
黒川とアサ子は、篠山に肩を貸し、洞窟に連れ帰った。
そうすることが優先だと思ったためアサ子は黙っていたが、主人がいると怒鳴ったとき、黒川が知っていると答えたことに疑念を抱いていた。
黒川にそれを話したことはないのだ。
事件やアサ子が出頭したときの報道でも、礼二の存在は明るみに出ていない。
――なぜ知ってるの……?
アサ子は、食料を探しに行ってくると言って立った黒川の背中を、しばらく見つめていた。
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