159人が本棚に入れています
本棚に追加
土の匂いばかりが鼻をつき、口内は土だらけになった。
それでも噛もうと歯で挟んでみたが、弾力がありすぎて全く潰れない。まるで、ゴムの塊を口にしてるみたいだった。
ざらりとした舌触りを感じた瞬間、得体の知れない幼虫を口の中に入れているという実感が込み上げてきて、思わず吐き出した。
その後、胃の内容物も逆流した。
「ぅ゛おぇぇぇええ……っ!!」
「何してんの、あんた」
安島 竜司を探しにきた吉田 瞳が、冷たい目で言った。
「ハァ、ハァ……うるせーな、何でもねーよ。食料は見つけたのかよ」
「カエルならあったけど」
「どこに」
吉田 瞳は手ぶらである。
「あっち。捕まえてよ。だから呼びに来たんだし」
最初のコメントを投稿しよう!