第7話

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7日目の朝。 昨日はぐったりして一日中寝ていた篠山も、この日はいつも通りに起き上がってきた。 服部 司に殴られた顔の腫れは多少引いたが、目の周りや唇の横に青あざが出来ている。眼鏡にはヒビが入っていた。 黒川と篠山が食料を探しに森に行くと、アサ子は磯へ向かった。貝を獲るためだ。 空き缶いっぱいに貝を獲って洞窟へ戻ると、吉田 瞳が洞窟の中を覗いていた。 「あの……?」 躊躇いがちに声をかけると、吉田 瞳が振り返った。 「あのメガネの兄さんはどこ?」 「食料を探しに行きましたけど……。なんの用ですか?」 「消毒」 吉田 瞳は手にしていた救急箱を持ち上げた。 「してあげようかと思って」 「はあ……」 アサ子は訳が判らない顔をした。
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