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「ああ。自己紹介しましょうか。私は吉田 瞳。連続保険金殺人」
吉田 瞳はアサ子に握手を求めた。
「……進藤 アサ子です」
とりあえずアサ子はそれに応じて握手したが、警戒は解けない。
「まぁ、でも……。実は誰も殺していないのよ、私は」
「え?」
アサ子は思わず吉田 瞳を見つめた。
「一人、殺そうとしたのは事実だけどね」
吉田 瞳は海を眺めながら呟いた。
髪を耳にかけると、砂利の上に腰を降ろした。
過去を懐かしんでいる顔である。
「最初の主人は、本当にただの心筋梗塞で死んだのにさ。信じてもらえなかったのよ。証拠が無くてね……」
アサ子も彼女の隣に腰を降ろした。
真面目に聞かなければいけない話だと感じた。
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