第8話

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「その未遂ってーのは4人目の旦那だ。吉田 瞳が受取人の、そいつに掛けられた生命保険ってーのが4社で、受取額が2億に近かったんだ。前の3人の旦那は全員心筋梗塞で死亡。3人とも保険受取額は1000万くらいだったらしい。4人目で欲張ったんだろーってことだ。2番目の旦那はとーっくにあの世でオネンネしてる筈だが?」 「え……?」 アサ子はどちらを信じればいいのか判らなかった。 黒川の言葉が真実なら、なぜそれほど詳しいのかと疑わなければいけない。 しかし、黒川が嘘をついているとは思えなかった。 *** 森の中に居た吉田 瞳は、全裸で雨に打たれていた。 首から胸部、腹部へとしなやかな手つきで体を撫で降ろすと、肌はするりと滑った。潮気でベタついていた不快感は、雨水が流してくれた。
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