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「……きゃあぁぁああっ!!」
10日目の早朝。
一人で森に入っていたアサ子は声を張り上げた。
まだ微かに、小雨が降っていた。
「アサ、アサ子さんっ!! なな、何があったんですか!?」
声を聞きつけた篠山は直ぐにアサ子の元へ駆けつけた。アサ子が居た場所は洞窟からさほど離れていなかったのだ。
ポツポツと並んだ木の向こう側から、草を掻き分け近付いてくる篠山と、その後ろに黒川の姿が見えた。
アサ子は、片手で口を覆ったまま指差した。
「うわ、わ、わ!!」
アサ子の指の先に目を向けた篠山は、驚きの余りドスンと尻餅をついた。
「何だぁ、こりゃあ……」
流石の黒川も、怪訝な顔つきを見せた。
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