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佐々木は、こんな場所に似つかわしくない革靴で「よいしょ」と砂浜に降りると、ふうっと息を吐いた。
「少し着くのが早かったか……」
佐々木は自分の腕時計を見て呟いた。
「先に回収をするか。あー……っと、どっちの方角だったかな……」
「大丈夫ですよ。自分達は分かりますんで。行ってきます」
「そうか。すまんな。この担当は二十年振りだから慣れてない」
黒い背広を脱ぎながら話す佐々木に、迷彩服の男二人は軽く頭を下げてから森へと向かった。
「さて……」
佐々木は首をめぐらせ、ヘリの周囲に集まった死刑囚の顔をじっくりと見回した。
――黒川……。
皆の後ろの方で立ち上がった黒川と目が合った。
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