第11話

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アサ子は流れていく木々の間を縫いながら砂浜を目指した。 心ばかりが急き、体が追いつかない。 足がもつれる。 「きゃっ!!」 アサ子は激しく転倒した。 「いッ……」 諦めずに立ち上がろうとしたが、震える足はそうさせてくれなかった。膝より下の部分だけが、何度も空振りしながら土を蹴った。 「逃げるなんてひどいよ」 地面に這いつくばったアサ子の頭上に声が落ちた。 「僕はね、女が嫌いなんだ。うるさいから」 アサ子に跨がった住田 和也は、死んだ魚のような目でアサ子を見下ろした。 「だけど体は好きだよ。綺麗だから。だから傷を付けたくない」
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