第11話

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住田 和也の目は、転んだ拍子に出来上がったアサ子の掌の擦り傷に向いていた。少しだけ血が滲んでいた。 その手を取り、住田 和也は傷口に舌を這わせた。 ぞわぞわと恐怖に取り込まれていくように、背筋が凍てついた。 彼は勃起していたのだ。 まどろんでいるかのような眼差しで、視点は合っていなかった。 ――殺される……? アサ子は咄嗟に口走った。 「お、女が嫌い? じゃあ、ママは!? ママも女でしょ」 危機を回避する方法を考えに考えた言葉だった。 馬乗りになられている以上、抵抗は無駄だからである。 ならば会話で繋ぐしかない。 しかも彼が興味を示すものでなくてはならない。 「ママ……?」 やはり、彼は反応した。
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