150人が本棚に入れています
本棚に追加
住田 和也の目は、転んだ拍子に出来上がったアサ子の掌の擦り傷に向いていた。少しだけ血が滲んでいた。
その手を取り、住田 和也は傷口に舌を這わせた。
ぞわぞわと恐怖に取り込まれていくように、背筋が凍てついた。
彼は勃起していたのだ。
まどろんでいるかのような眼差しで、視点は合っていなかった。
――殺される……?
アサ子は咄嗟に口走った。
「お、女が嫌い? じゃあ、ママは!? ママも女でしょ」
危機を回避する方法を考えに考えた言葉だった。
馬乗りになられている以上、抵抗は無駄だからである。
ならば会話で繋ぐしかない。
しかも彼が興味を示すものでなくてはならない。
「ママ……?」
やはり、彼は反応した。
最初のコメントを投稿しよう!