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「一度、ある被験者の脳に電極を与えてみたそうだ。右半球の側頭頭頂接合部というところだ。すると被験者は後ろに誰かが居ると言った。だが、振り返って姿を確認しても誰もいない。それと同じだ。極限状態の恐怖やストレス、そして生死の狭間。条件が揃うと、脳がサードマンを作り出す」
「まさか……」
「信じられないかもしれないがそうなんだ。人は死にそうな場面に直面すると走馬灯を見ると言うだろう。あれは脳が打開策を探してるんだと。これまで生きてきた人生の中で同じような経験が無かったか。生きる為の本能なんだそうだ」
「本能……」
「動物の帰巣本能も聞いた事があるだろう。動物はなぜ磁石もないのに方角が分かるんだ?」
最初は疑っていたアサ子も、徐々に信じ始めている。
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