第11話

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突然、篠山が作りかけの筌を置いた。 無言のまま立ち上がった姿には、何かを決心した気配があった。 「篠山さん……?」 「あ……えっと……ちょっと、いいい行かなくちゃ……」 篠山は背を向けると、森へと向かった。 「篠山さんっ……!?」 「何だぁ……? ケンカでもしたのかい?」 篠山と入れ替わるようにして戻ってきた黒川も、篠山の背中を見送りながら首を傾げた。 「……してないわよ」 アサ子は大きなため息を吐いた。
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