第11話

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篠山は夕方になっても戻ってこなかった。 「篠山さん、戻ってこないわね」 「ほっとけ。ガキじゃーねぇんだからよ」 黒川は言いつつ、焚き火に木をくべた。 日が沈みかけた空は、遠く西のほうを僅かに茜色に滲ませるのみで、辺りはすっかり薄暗い。 オレンジ色の光りがパチパチと火の粉を舞い上げ、黒川の顔を照らしている。 「私、探して来るわ」 「お好きにどうぞー。タダで動くのは体力が勿体ねぇ。何か食料を調達してきてくれると嬉しいねぇ」 「言われなくてもそのつもりよ」 アサ子は海岸沿いを進みながら篠山を探した。 ずっと一緒にいたのだから、篠山の行動範囲は大体分かっているつもりだった。 しかし、砂浜や磯には篠山の姿は見当たらなかった。
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