PROLOGUE

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 株式会社サークルジョイ。それはゲーム会社だった。  志高い若者が数名集まって設立された所謂ベンチャー企業で、業績はあまり芳しくない。菊池は何故かこの会社の株を買い取り、会長となった。そして彼は言った。 「パルスチェンジャーを使ったオンラインゲームを作る」  菊池の資産を使ってサークルジョイは技術者を雇い、サーバーを建てた。菊池はパルスチェンジャーを小型化し、量産した。  全く新しいゲームの形に人々は飛びついた。傾いていたサークルジョイが資本を築き上げるのに時間は全くかからなかった。  それからはまさに矢のように5年がすぎた。サークルジョイは押しも押されぬグローバル企業になり、彼らの提供するオンラインゲームは史上最大規模のものとなった。 「ドリームオンライン」。子どもから高齢者までその名前を知らないものはいない。だから多くの人は知っているのだ。「菊池栄一郎が天才である」と。  ――しかし、彼が大きな不安を抱き続けていることを知っている人は、まだ誰もいなかった。
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