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「あの…創柳様…?」
理沙を寝かせた陽一こと創柳にあやめが問いかけた。
「どうした?」
「創柳様は今まで多くの人間を引き取りましたが…気になられた方はいるんですか?」
「へっ?」
お茶を飲んでいたら吹き出していたところである。
「ずっと寝食を共にして…何もなかったと…。」
「教え子に何かあんのかよ。」
創柳は呆れ飛ばした。
そのあっけらかんとした態度があやめには悔しい。
「もう、知りません!」
話を振っておいて、自分から切る。
「お前なぁ、そういうところが可愛げが無いよな。
嫁の貰い手とか、そこまで言わんが…夜樹丸と一緒で偵察や潜入の任務もあるんだぞ。」
冗談がきかないのがさすが兄妹だ。
本来、偵察や潜入には向かない性格をしている。
「潜入は潜入です!」
思い切りあやめは反論する…怠けたつもりはないのだが。
「あやめ…本来ならお前にもっと女らしいことをさせてやりたかったがな。
他に使える教え子が少ないから…お前らばかりに苦労をかけるよな。」
周りの神を動かすのは、創柳やエミリオにも負担がかかるし。
結局、この兄妹頼りなのだ。
創柳の気遣いに、あやめは嬉しくもおそれ多い気持ちになる。
「そこまでお気になさらぬとも…私たちはあなたの教え子であることを嬉しく思います。」
あやめは深々と頭を下げた。
「そうかね?」
とはいえ、このままではしのびない。
遊び方も教えねば、師匠として面目が立たないから。
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