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日中とは雰囲気の違う放課後
夕日が窓から差し込み みなそれぞれが遊びや帰宅など違う目的のために行動し始めるこの空気は俺は苦手だ。
「気をつけて帰るのよー」
何て言う担任の声を聞きながら俺はあるクラスメイトの元へ歩き出した。
「佐伯、」
ガサガサと雑に教科書などをカバンに放り込むのに夢中な男に声をかけると、ぱっと顔を上げた。
「おー桜井!どうした??」
いつでも笑顔な佐伯の明るさには憧れを持つ
「朝貸した数学のノート先生に提出しなきゃなんだけど…」
「あ…さっきの音楽んときに、こっそり写してて……そのまんま置いてきちまったわ」
「はぁ?今日の音楽、第2音楽室じゃん!」
普段俺たちが使う第1音楽室は改装して綺麗だし、なにより教室に近いから殆ど第1を使う
が、今日はちがった。
第1音楽室のピアノは調律で使っているらしく 別校舎の第2音楽室だった
つまり、忘れ物をすると取りに行くのがクソ面倒くさいということだ
「そんなに怒るなよ、桜井。」
「怒ってねーよ。」
「怒ってんじゃん!まあまあ、落ち着いて。」
何かいい話があるらしく、眉をあげてどや顔している
「第2音楽室で、出会いがあるかもっ!?」
「あるわけねーだろ。第一、人がいない」
「いやいや、いるよー。この学校では有名な話だと思うんだけど…」
そういってうーんと悩み始めた佐伯を横目に扉へ向かう
「ふーん。まあ人がいるなら、鍵は取りに行かなくて平気だな」
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