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二人きりの時のお化粧も綺麗だけど、この南米と京劇が入り乱れたお化粧も、見慣れればそれでムラっとする。
それを伝えたら、雉ちゃんは
『桃さまがそう言うなら……
じゃあ、お店で仕事してる時だけ。
桃さまの前では、普通の女の子でいさせて』
と言って、南米スタイルのままでいてくれている。
「桃さまが一度おうちに帰ったら、お婆さまはピッチピチのキレッキレの美女になっていて、お爺さまはいらっしゃらなかったのよね?」
そう。
あの後、僕が鬼ヶ島から戻ると、庵で待っていたのは、見知らぬ肉食系美女だった。
驚く僕に、美女はこう言った。
『桃太郎や、よく帰ったね。
私はお婆さんだよ。
ん? 爺さん?
ふぇっふぇっふぇ……
毒薬を盛っても盛ってもくたばってくれないんでねぇ、仕方がないから ろけっと とかいう乗り物に乗せて、月へ打ち上げてやったのよ。
今頃はかぐや姫とよろしくやっとろうて、ふぇっふぇっふぇ。
というわけで桃太郎、お前はわしとよろしくやろうではないかえ……
ふぇっふぇっふぇっふぇ―――――――っ!!』
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