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「はいはい、うるさい兄貴。子供だと思ってるのは兄貴だけ。まあ、そう思いたい気持ちはわからんでもねえけど、現実を見た方がいいんじゃねえの?」
「…現実って…それを見て子供だって言ってるんです」
「はいはい、兄貴にとっては妹はいつまでたっても妹か。ま、それもいいかもしんねえな。…俺にとっては都合がいい」
「…都合がいいって…」
私は二人の会話に入れず、二人の話が終わるのを首を傾(カシ)げて待っていた。
「鍵は今日から借りれますか?できればどんどん荷物を入れていきたいんですが」
「…話、逸らしたな?…クリーニングもすぐに入ってもらうように言うから」
「いろいろとすみません。本当に…ありがとうございます」
私はやっと会話に混ざった。
「気にしなくていいよ。月島の頼みじゃ断れねえし…そうじゃなくても、会えてよかった」
今度は内田さんの白い歯が光った。
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