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私はあっくんに暗いと言われた顔を明るく塗り替えた。
「あっくんて…昔も今も、私にいろんなこと、教えてくれるね」
あっくんは小さく息を漏らした。
「しょうがねえだろ…もう一人の…兄貴なんだから」
あっくんはそこで目を逸らした。
そして、どこかよそよそしく私に聞いた。
「…アイツは?芳樹(ヨシキ)は…元気か?」
芳樹は…私の兄だ。
「うん。お兄ちゃんとももうずっと会ってない」
「なんで?」
「会社の研究開発部にいて、今はドイツに出向中」
「…へえ。…会えなくて…寂しいだろ?」
そう言って私の顔を覗き込むあっくんはお兄ちゃんと一緒。
私を子ども扱いして、寂しがってると思ってる。
「全然。寂しくなんかないよ」
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