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「ひかる…どうした?」
「…え?」
あっくんが心配そうに私を見ていた。
「暗い顔してボーっとしてたぜ?あの部屋、気に入らねえか?」
「ち、違う、違う!」
私は精一杯否定した。
「ちょっと…考え事しちゃっただけ。…すごく素敵な部屋だし…私の準備不足で…いろんな人に迷惑かけちゃって…」
「ひかるに手がかかるのは昔から同じだ。別に気にすんな」
あっくんはそこで自分の腕時計を見た。
「後30分か…。ひかる、ちょっとお客さんの取引に立ち会わなきゃなんねえから近くのショッピングモールで降ろしてやるから買えるもんは適当に買っとけよ。クリーニングが済むまではここに置いとけばいいし」
「買えるものっていうと…」
「自分の生活に必要なもの。一人暮らしのスタートはそれを考えることからだ。無駄なものは買わない。いいか?」
「うん。やってみる」
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