準備

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その時だった。 ピンポーン。 朝も早くから来客だ。 もっともこの客は… 俺は玄関に向かい、相手を確認するまでもなくドアを開けた。 「おはようございます」 ドアを開けて言うと、 「おっす」 と、短い返事が返って来た。 声の主は内田さん。 「ん、これ」 内田さんは俺の前にタグの付いた鍵を差し出した。 俺は内田さんにひかるの部屋の合鍵を頼んでいた。 今日の午前中のクリーニングの前に、寸法を測る箇所があればそれを済ませてから出掛けたかった。午後の荷物の搬入も鍵を借りておけばすんなりいく。 「ありがとうございます」 俺が鍵を受け取ると、内田さんはふと、足元を見た。 「あれ?」
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