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「ひかるちゃん…泊まったの?」
内田さんの足元、玄関のたたきにはひかるの靴が揃えられていた。
「あ、ええ…今日は朝から動きたかったんで」
「いるの?」
内田さんは俺の言葉が言い終わらないうちに自分の靴を脱ぎ始めた。
「あ、内田さん、ちょっと…」
内田さんはここには何度も出入りしている。
勝手知ったる他人の家。
彼はズカズカと俺より先に奥に進んだ。
「わ、ひかるちゃん」
「あ、内田さん…。おはようございます。昨日はお世話になりました。あ、今日もですけど…」
ひかるが立ち上がって挨拶をすると、内田さんは今まで俺が座っていた席に座った。
ひかるの正面だ。
「あはは。昨日も今日も、これからずっとお世話するよ」
身を乗り出す内田さんに、ひかるは逆に身をのけ反らせた。
「…よろしくお願いします」
ひかるがかしこまって言うと、内田さんはそれには答えず、テーブルに片肘をついて顎を支えた。
「ひかるちゃん、昨日と印象が全然違うね…」
「…え?」
「月島に…食べられなかった?」
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