準備

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「…食べられ…?」 ひかるが言葉に詰まる。 きっと、意味がわからないんだろう。 「内田さん、ひかるにそういう冗談、やめてくださいよ」 内田さんはまたしても俺の話を聞いてやしない。 自分勝手に話を始める。 「けどさあ、女は男のギャップに弱いっていうけど、男も同じだな」 …今度は何を言い出すんだ? 「化粧して綺麗にしてるひかるちゃんもいいけど…」 内田さんの視線がノーメイクのひかるの顔をじっと見つめる。 「この無垢(ムク)な感じもメチャクチャいいな」 ひかるに向けられた内田さんの顔は、一見真顔を装っていたけれど、 彼の口の片方が一瞬だけ上がったのを… 俺は見逃さなかった。
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