1680人が本棚に入れています
本棚に追加
「帰ってくれ」とも言えずに、仕方なく彼にコーヒーを出した。
普段、仕事の上では考え方も似ていて気が合うはずなのに、
なんだか調子が狂う。
内田さんに断りを入れてからテーブルの上の食器を片付け始め、キッチンに立って彼には背を向けた。
すると、水音の隙間を縫って、内田さんがまるで独り言のようにしゃべり出す。
「…ひかるちゃんて…今まで俺の周りにはいなかったタイプだな」
「…タイプって…ひかるのこと、まだ何も知らないじゃないですか」
俺は食器を水で洗い流して、食器洗浄機の中に放り込んだ。
「そんなの見た目でほぼわかんだろ?それに、知らないから知りたくなる…」
「ひかるは子供。内田さんにはついていけませんよ」
「出た出た、周りが見えてない兄貴発言」
「どういう…意味ですか」
「そんなのお前が思ってるだけだろ?お前の知らない間に、彼女だって見た目以上に女になってるさ。…いろんな経験…してさ」
最初のコメントを投稿しよう!