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ひかるのことが心配になり、俺はソファを離れた。
脱衣所のそばまで来ると、まだシャワーの水音がピチャピチャと跳ねていた。
俺はラックに置いてあるひかるの着替えの上にバスタオルを乗せた。
弾ける水音…
擦りガラスの向こうには
ひかるの白いシルエットが
ぼんやりと浮かんでいた。
俺はシャワーの音が鳴りやむ前に
急いでリビングに引き返した。
キッチンに立って、コーヒーを淹れる。
洗い物が面倒なのでコーヒーはインスタントだ。
スプーンを使わずに瓶の口から直接カップにコーヒーの粉を入れ、電気ケトルで沸かした沸騰直後の湯を注ぐ。
カップから立ち上るいつもと変わらない香りを思いっきり吸い込んで
俺は日常を取り戻そうとしていたのかもしれない。
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