準備中の事件

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反射的に足は部屋の奥へ、 手ではスマホを握りしめた。 あっくんでないとわかったのは あっくんよりも長身で、 あっくんよりもがっしりとした体格だったからだ。 玄関に立つ人影は明らかに男性… 一気に押し寄せる恐怖に膝が震えた。 …あっくん… 震える手でスマホを操作しようとすると、液晶の画面が眩しく私を照らす。 すると、恐怖のあまり声の出ない私に代わって玄関先の男が声を発した。 「ひかるちゃん」 「…え」 聞き覚えのある太い声に目を凝らす。 ちょうど彼が顔の向きを変えると、外の街灯が彼の顔を映し出した。 「…内田さん…?」
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