準備中の事件

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その途中で心配になったのかひかるもやって来た。 女はひかるを見るなり小さく笑った。 「いい男が越してきたと思ったら、女連れ?なーんだ、がっかり」 「すみません、越して来たのは俺じゃなくて、彼女なんです」 俺がひかるに視線をやると、ひかるが横から挨拶をした。 「これから隣でお世話になる森野です。よろしくお願いします」 「よろしくすることは何もないけど、まあよろしくね。あ、脚立よね?脚立なんて物は置いてないけど、あ、椅子でもいい?台になればいいんでしょ?」 女は適当に挨拶をすると、玄関の奥へ入って行った。 玄関から見える範囲の部屋の中は、随分と散らかっていた。 そして女が安物の丸椅子を持ってやって来た。 「これでいい?」 「はい。ありがとうございます」 俺がそれを受け取るとひかるもお礼を言った。 「あ、使ったら外に置いといてもらっていいから。まあ、頑張って」 女はそう言ってドアを閉めた。
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